CTO 西村光嗣

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“属人的な開発からの脱却と自動化・効率化を目指し、社内の開発体制を大きく変化させた”

この一年で、役割・業務・やりがいなど、どんな風に変化しましたか?

前回のインタビューの際はJijZept開発をほぼ私一人で担っている時期でしたね。当時の開発業務は属人的なことが多かったのですが、この一年で様々な点においてだいぶ変化したと思います。
当初研究開発の延長として作成されたJijZeptのβ版を昨年の夏にリリースし、実際にユーザーに使用してもらうフェーズになりました。ユーザーの声やフィードバックがダイレクトに入ってくるようになり、不足点や改善事項、追加機能の要望などをいかにスピーディにアップデートできるかが最も重要なポイントになっています。
また、開発チームのメンバーが増えたことで、チームでの開発体制をいかに構築するかも大事な観点となりました。
このような変化の中で、属人的な開発からの脱却と自動化・効率化を目指し、いくつかのアクションを進めています。
一つ目は開発業務のドキュメント化、ワークフロー化、アーキテクチャ図の可視化です。
以前は私だけが開発の仕様や意図・目的を理解している状態だったため、その都度メンバーへの説明や質問対応などに時間を使っていました。またメンバーも、アクシデントが起きた際に、全体が見えない状態でその箇所への対応を行うことに対し支障が生じるようになってきました。
そのため、ドキュメント化によって私が説明をしなくてもそれを読めば課題解決ができるような形に、またワークフロー化された開発マニュアルによりソースコードや機能や動きが即座に理解できる状態に、アーキテクチャ図の見える化により全体図の把握とその中のどこにどう対応すればいいかを一目見てアクションに移せるような仕組みを構築しました。
これにより、メンバーが仕様変更をタイムリーにできるようになり、全体としてスムーズ且つスピーディに開発業務が推進できるようになりました。また、今後新しいエンジニアが入社した際も、これらのマニュアルなどを読み込めばすぐにキャッチアップが可能になり、早い段階で実務において活躍できることを見込んでいます。
 
二つ目は開発スタイルをアジャイルに変更し、会社全体の開発フローを大きく変更しました。
具体的にはユーザーの要望を整理した上で定められた期間に何をやるかを明確化し、その期間で各メンバーがすべきこと・できることを決めます。さらにスプリント2週間のタームごとに開発スケジュールを区切りゴール設定を行い、アップデートの成果を毎週金曜に全体会で共有するという流れです。
この変更により、目的・目標に沿って全メンバーが共通認識を持つことで、メンバーへのいい影響が生まれてきていると感じています。例えば、一部の人しかわからなかった実際の開発状況や不具合の状況が、どのメンバーも客観的にわかるようになったこと。また、ユーザーからの良いフィードバックをメンバーに共有することで「使われているプロダクト」という感覚を持って次のアクションに移れるといった効果。さらに、新たな課題が見えてくると「こういうのあった方がいいよね」とメンバー同士が意見を出し合いながらブラッシュアップし「もっと良くなるよね」といった方向に向かっている実感などが得られています。
上記にプラスしてメリットと感じていることは全員が各メンバーのコードをよく見るようになったことです。これにより社内フィードバックの有効性を感じるようになりました。
まだまだ課題は山積しているため、やるべきことやブラッシュアップすべきことは多岐に渡りますが、より効果的な開発環境の構築を目指し今後も推進していきます。
 

この一年で変化した、新たな目標やチャレンジしたいことは何ですか?

短期的には、私自身が開発業務から離れ権限移譲をスピーディに進めることで、テック分野における自社戦略をどのように策定するかなど、先を見据えた業務に移行をしていきたいと考えています。先ほども述べたように、メンバーが課題やアクシデントに対して迅速に対応できるようになるなど、開発業務をスムーズに推進できるような仕組み作りを行い、できる限り自動化を進めることで、私自身は大局的な視点で課題抽出や機能提案などをする役割に移していくべきと思っています。そして戦略面での役割に徹することができるような体制を早い段階で作っていきたいと考えています。
長期的には、量子・アカデミックの知見を産業に繋げていき、いかに社会実装に反映させるかという視点でのアクションを進めていきたいと考えています。
 

Jijの特徴でもある、コミュニケーションの多さによるメリットや効果をどんな風に考えていますか?

Jijには週次の技術面談や業務ミーティング・ランチミーティング、定期的な輪読会、3ヶ月ごとの四半期面談など様々なコミュニケーション機会があります。
これらのやり取りを通して、メンバーが抱えている課題をタイムリーに認識できることがメリットだと感じています。加えて、1on1面談を経営陣が担うことで、出てきた課題や案件に対してスピーディに判断することができ、その後のアクションもスムーズに進む場合が多いと感じています。
また輪読会などの勉強会は、開発業務に直接関係しないアカデミックな内容なので、その時間はリフレッシュすることができますし、出てきた話題を他の場面に拡張できるかもしれないなどの発想に繋がる場合もあります。
こういったコミュニケーションの機会を今後も大切にしていきたいと考えています。
 

最近興味のあることや休日の過ごし方を教えてください。

最近は、開発の進捗状況を自動化する仕組みをプライベートで構築しています。これができれば進捗を一瞬で確認できるので、業務効率が圧倒的に良くなります。
同時にRust言語の習得のために休日を活用しています。これは技術調査の目的も兼ねていて、実際に使ってみて言語感触を試すことで、開発にどう活かすことができるかを探っています。今後はGo言語の習得にもチャレンジしていきたいと思っています。
 
 

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